人は「人生は短い」とよく言う。しかし、また同じ人達は「心配する必要はない。あなたにはこれから、まだ、長い人生があるんだ」とも言う。僕は、この矛盾に気づいた後で、月並みな言葉を全然信用することができないようになった。それで、クリシェに挑戦することにしたのだ。僕はコンクリートの床の硬さのように、手で感じる具体的なことだけが知りたいし、具体的なことだけを信じたいし。これは僕の問題だ。「事実は何か」とか「人生の意味は何か」とかいう様々な賢人や僧侶が一所懸命に考えた質問に大変興味を持っている。答えが見つけたい。しかし、これは難しい。時代が移り変わると共に、この答えはもっと見つけにくくなるような気がする。その上、多くの人に聞いたら、答えは全然存在しないと言われる。僕はその考えに賛成できない。その見方が本当なら、どうして人生や意識が存在しているのか?どうして自分の心理があるのか?否!事実に対する答えは存在しなくてはいけない!人生の意味は存在しなければならない!けれども、答えを探すために、何をした方がいいのか?どのように宇宙の本当の様子が分かるのか?僕は分からなくてはいけない。魂を味わいたい。風船がまもなく激しく割れるように、僕は待つことが全くできない。
ところが、ある人は待っているという。カセという僕の過去の友達はその種類の人間の一人だった。今思えば一年生の時のカセとの会話の一つが印象に残っている。ある夕方、僕はある考えが浮かんだ。人間は時計を通して時間を測る。すなわち、時計を通して、時間が分かるだけでなくて、時間を感じる。けれども、もし時計のギアと針を遅くして変えたら、人間の知覚に関して、どんな効果が創造されるかと考えたのだ。
カセに「そうすれば、僕たちの時間に関する知覚を遅く変えることができるよ」と説明した。「もちろん、逆もできる。」
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「君はいつも変なことについて話しているよね。時間の感じを変えるのは無用だし無理だ」とカセは言った。
「そうじゃないよ。時間の知覚が変えられたら、面倒くさい時間を早めて価値がある時間を遅くしてもっと味わえるよ。」
「いや。馬鹿馬鹿しい考えだ。」
僕はカセにすぐに拒絶されたのが嫌だったので急に怒って言った。
「お前はお前のインスタグラムのミーム以外に何も大切にしない、何も考えることができない!それが本当の馬鹿だ!」
「馬鹿だというのは地に足の着いたことだ!君は、いつも不可能な妙なことについて考えてしまうんだ。」カセは僕を見下すように言った。
僕は何も返事しなかった。何も返事ができなかったこのは、腹が立ちすぎて、火山の噴火みたいに、口を開けて、熱くなって燃えた言葉を投げそうになったからだ。
カセが僕にそのような態度を表すのは初めてだと言えない。七年前の初対面の時から、僕が何か考えがあれば、すぐ、彼がそれを拒絶して来た。幾度か「どうしてお前は否定的な人なんだ」と聞いたら、「いや!否定的じゃない!君のために、本当のことを言うだけだ」という答えが返って来た。
僕はカセの考え方が嫌いだったのに、誰も友達がいなかったので、いつも怒るようになっても、まだ、我慢していた。しかし、カセは、一年生の終わりまでに、僕の限界を超えてしまった。
ある2月の日、午前五時に、お父さんから電話があって、僕が子供の頃からずっと一緒に住んでいた祖母は心停止で、もう、意識が戻らなくなったという。すぐ、僕はサクラメントへ帰った。そこで、お寺へ行って、神様に祈った。六時間ぐらいビシュヌという神様のためのマントラを続々
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言って、お寺の建物を108回巡った。「祖母を助けて下さい。祖母を助けて。。。」という風に必死に祈った。
父が「病院へ行ったら?」と言ったのに、「行きたくない」と答えた。子供の時から祖母は良く動く人で、今、祖母の動けない体を見たら神経衰弱になってしまう。「見てはいけない」と思って、祈り続けた。
けれども、その日の八時ごろ、祖母が亡くなったということを知った。どんな言葉を使っても、文章でも論文でも、僕のその時の痛さを全く記述することができない。親の家へ帰って泣きながら、赤ちゃんのように、泣き叫んだ。悲しさより怒りが出て来て、$1000もするラップトップを破壊して、その上、家のテレビにリモートを投げつけて、それも壊してしまった。
「神様は僕を裏切った!」と叫んだ。子供の時に祖母の膝で寝ながら、日光が祖母の顔の老いの波を照らすという記憶が強く浮かんだ。これを思い出しながら、親に「これきり祖母に会えない!祈ったのに、神様は助けてくれなかった!」と言うと、すぐ、黒い雲のように、酷い思いが襲ってきた。
家の仏壇へ行って前に立った。ビシュヌの光照な偶像をじっと見て、偶像を手に取りながら、「あなたを破壊する」と思った。しかし、その瞬間、急に、自分の手が窮屈になって止まった。どこからか分からなかったが、自分の頭の深い内側で「また祖母に会えるに違いない」という考えが生まれて来た。そして、僕は涙を流しながら、偶像を眺めた。
祖母の亡くなった日から、気持ちが悪くなってきて、その後、無感覚になった。これは悪夢だと思った。しかし、時間が過ぎるにつれて、僕は少しずつ安定してきた。 ある夜、カセに電話して、「祖母はまだ存在している。絶対にそう」と言った。けれども、カセは「いや!空想だよ!お婆さんは死んだんだ!」と突っぱねた。
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でも、この時の面白かったことは、僕自身がびっくりするほど、僕は怒ることはなかったことだ。空っぽだった。そうしてカセに「さよなら」と言った。
その時から、七年間も友達だったカセと話さなくなった。
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季節が変わって、祖母が死んだ二月から暑くて湿度が高い夏になって、その後、葉が死に始めるように落ちる秋になった。日が短くなるにつれて、だんだん暗くなって自分の気持ちも暗い空洞に入って行った。祖母がいない人生は意味がない人生だという感じがして来たのだ。僕は人形のようになって、ヤシの木が揺らぐように、その時の事情や瞬間的な気持ちに振り回された。クラスメートが自分のテキストに返事しなければ、がっかりするようになった。ある人が道路で何か失礼なことを言ったら、嫌になった。授業で自分の欲しい成績を貰わなければ、不安になった。感情が上り下りして、浮標が海の波に浮かぶような生活になった。そして、その海は限りがなかった。灯台を探せば探すほど、見えにくくなった。祖母に会いたくなれば会いたくなるほど、自分の心の空虚をもっと感じるようになった。
ある夕方、僕は普段よく行くハーフ・プライス・ブックスという本屋を訪ねた。バークレーで、大学とアパート以外に、喫茶店やレストランなどと違ってお金を使う必要がないところの一つだからだ。
大体、僕の習慣は、まず、プランナーとカレンダーの売り場へ行って、一つか二つを読んだが、いつも考えるのは「どうしてこんなキッチュなデザインがあるのか」ということだ。それから、超自然関係の本の売り場を訪ねて、いつも同じ『あなたの性格とあなたの誕生日の関係』という星占いの本を取って、自分の誕生日の性格を説明したページを読んでいた。当然、書かれている好きな部分に賛成して、好きではないことを拒絶していた。最後に、宗教的な本の売り場へ行って、それらの本を手に取らないで、タイトルだけを眺めていた。昔、お腹が空いた犬のよう
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に、宗教的な文章を積極的に読んでいたが、今はもうそんなことは、ない。立ってその本をじっと見ることができるだけだ。とにかく、こういう風にハーフ・プライス・ブックスへ行っていた。
しかし、その特別な日に、僕の単調な繰り返しが壊された。宗教的な本の売り場へ行った特に、僕の目は、今まで見たことがない『バガヴァッド・ギーター』の本のエディションの一冊に惹きつけられたからだ。
近づいて、もっと見ていると、「バガヴァッド・ギーターはいいよ。そして、中国の老子が書いた老子道徳経も輝かしいよ。」という声が聞こえた。
僕は声の方向に体を向けた。僕の五フィート前に、この宗教の本の売り場のフロアに、大柄で妙な感じの五十歳ぐらいの人が立っていた。大き過ぎる色々な汚れがある暗い色のセーターを着て、古ぼけた色の緑の色の帽子を被って、左の肩の上にある三つ編みの一つ以外は、髪が隠れていた。無精髭をはやし、二本か三本の歯がなかった。まだ存在している歯の中で、右の一本ははみ出して上に向いていた。左の目が細くなっていた。よく見ると、路上生活者のようだった。
「でも、どんなタイプの翻訳かについて気をつけてよ」と言いながら、『あるヨギの自叙伝』を本棚から取った。けれども、僕が一番注目したのはこの人が持った『空海密教』という本だった。その本の表紙は深い黒で、真ん中の、タイトルの下に、ある黄金の道具が描かれていた。
この不思議な人は、僕の凝視に気付き、指差して「あ、これは弘法大師の金剛杵だよ。煩悩と無知と悪を破壊するための法具だ。知ってる?」。
僕は普通、このような変な場面では、何も話さないで、必死に逃げようとするが、その時に、妙な力感が僕を繋ぎ止めているようで、僕はじっと立っていた。そして、自分は大抵無口だけどこの時は、「いいえ。あまり分からない」と言った。
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「じゃ、是非読んで見て」と返事して、その本を僕に渡した。「でも、その弘法大師の本だけじゃなく、これもいい」と言いながら、他のチベット仏教の本を見せた。
僕はその本を持って試し読みをし始めたところで、不思議な人は、ふと、「でもね、こちらもすごいよ」と言って、中国の『易経』を指差した。僕が返事し始めたばかりなのに、彼は「これもいいよ」と言った。
僕は何を話したらがいいか分からずに、「宗教的なことに興味を持っているようですね」と言った。
不思議な人は「もちろん」と返事して、気忙しく本棚から様々な本を一冊一冊手に取って読んでみた後で戻していた。
「僕も興味を持ってたが、悪いことがあって結果として、神様を信用しないようになった。」これを聞いて、不思議な人は、ふと、姿勢を正した。僕の目をつくづく眺めながら、「あなたの問題は悪い結果でもいい結果でもない」と述べた。「あなたの問題はあなたの心理だ。」
「でも、それはー」
「考え過ぎだ!心理を使い過ぎだ!これだ!」
僕は、その人の直接さにびっくりさせられたので、結局、「そうか」とだけ言った。
「毎日、必ず大学から帰った後で、夕日を見ろ!」
僕は太陽を見る意図がなかったのに、仕方がなかったせいで、「はい、そうします」と答えた。
彼は「いいね」と言って自分の枕と黒い鞄を抱えてまもなく出て行きそうだった。「本当にいいね」と、また、言って歩き始めた時に、急に、何かが僕の心に引っかかった。 それで思わず、「ちょっと待って下さい。あなたは誰?」と聞いた。
彼は「リュー」と返事した。
けれども、「リュー」と聞こえたのに、僕がには間違って聞こえて「む?」と言ってしまう。
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「それも大丈夫。む、くう、ふ、リュー、これら皆同じ」。
それきり、不思議なリューさんはどこかへ消えた。
僕はその時から、幾度もハーフ・プライス・ブックスへ行ってリューさんを探そうとしたが、見つからなかった。「それは空想。それは失望」と思った。しかし、時が過ぎるにつれて、だんだん、リューさんについてあまり考えないようになった。その上、夕日を見ることは一度すらなかった。学生時代の日常的な単調な生活にとらわれて、締切を守ることを果たし、深いつながりが作れない友達と時々会い、夜、楽しまないで、カエルが跳ねるように、無益なユーチューブなビデオを取っ替え引っ替え見ていたし。悲しさよりも不安よりも無気力だけ感じた。僕は自分の魂を無くすだけでなくて、僕が最初から魂があったのかという気持ちすら出て来た。だけれども、運命か偶然かが分からなかったが、このような状態は続けることができなかった。
次の春、祖母の死去の一年ぐらい後で、ある午後、普通と違って、疲れて眠くなったので、昼寝をした。そして、忘れられない夢を見た。
この夢に、白いサリーを着る祖母が出て来た。死んだ時より今の方がもっと若く見えた。髪が白い代わりに、灰色なのだった。
私たち二人は天井が80フィートぐらい高い大部屋にいた。立ったところの後ろに、下の方向へ行く限りがない階段があって、その上に、霧の雲が見えた。私たちの前に、他の上の方向へ行く階段もあった。けれども、300フィートぐらいからの踊り場が見えた。
祖母は僕の右手をしっかり握って、僕の方を向いて、僕を抱きしめた。事実よりも現実のように感じた。新しい色を見る最初の経験や音楽を聞く人生の最初の経験という深さを通して、祖母の抱っこを感じた。
僕は目が覚めた。涙がそっと出た。「祖母。祖母は近くにいる?祖母は近くにいる?」と囁いて、すぐ、何かができると強い感じ、やる気に火が付いてアパートを出てバークレーの隣の山へ
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行った。時計を見て日の入りまで三十分ぐらいあることを確認して、必死に走った。バークレーの山にある科学のラボの近くに、ビューポイントがある。そこから、全部のサンフランシスコベイが見える。
八分ぐらい前に着いた。岩棚に行きそこに立って、夕日を見始めると、後ろから声が聞こえた。
「やっと、来たね。」
僕はびっくりして振り向くと、そこでリューさんが立っていた。
「どうしてここにいるんですか?どうやって?」といそいそ叫んだ。鳥が飛ぶ時の初体験のように、僕は興奮していた。
しかし、僕の質問を無視して、「ほら、まもなく日の入りだ!見て!」と命じた。
「でもー」
「『でも』の時間はない!見ろ!」
自分の深い内側からの命令があったように、リューさんの命令を聞いて、僕は従った。
太陽に向かって、真中を強く眺めた。思いのほか、目が痛くなかった。逆に、目が和らいだ。肩が緩かになった。
「集中しろ」と言われた。
太陽がもっと明るくなってきた。もっと大きくなってきた。さっき見えたゴールデン・ゲートブリッジが、今、見えない。太陽の光はそれを飲み込んだ。
「太陽が全て」だと言われた。
太陽は大きくなるにつれて、サンフランシスコのスカイラインを包んだ。バークレーの時計台も舐め尽くした。空にある飛行機も消えた。海洋と太陽、二つは一つになった。僕の視野の中で太陽の激しい金の燃える光だけが残った。太陽は僕を引っ張った。体が燃え始めた。
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すると急に、雷の電光石火のように、分かった。
冷たい牛乳が頭の上に注がれて、「太陽はが全て」だとそっと囁いた。
悟った。
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僕は振り向いて、リューさんが立っていると思ったところを見たが、リューんは見えなかった。消えた。
けれども、彼が立っていたところに、光り輝いている何かが見えた。不思議に思って近づくと、弘法大師が持ったような小さい黄金の金剛杵だった。僕はそれを拾った。
まもなく日が暮れた。
そして、地平線から、どこかからか来た小さい白い鳩が飛び立った。